導入事例

筑波大学附属病院様

テレビ会議システムが地域医療再生に貢献。
地域で活動する医師のため、最先端医療やカンファレンスに遠隔地から参加できる仕組みづくりへ

業種 教育、医療 設置拠点 3 拠点
用途 ・県内の主要病院をつないだカンファレンス
・最先端医療を学ぶトレーニング

忙しい医療現場では、距離と時間を超えられるテレビ会議システムが求められていた

日本の医療は、医師不足、地域における医師の偏在、医師の生涯教育などさまざまな課題を抱えている。茨城県にある筑波大学附属病院では、対策として 遠隔教育を強化しており、その一環として2011年よりテレビ会議システムを導入した。このプロジェクトを推進してきた医学医療系 地域医療教育学 前野教授は、テレビ会議システムを導入した理由を、次のように語った。

「地域医療の現場では、テレビ会議システムのニーズは以前からありました。医学の進歩は早く、現場の医師も最先端医療に取り組 みたいと考えています。そのためにカンファレンス(研究会)を開いていますが、医療の現場は忙しく、カンファレンスの場に出向くことも簡単ではありませ ん。またカンファレンスにおける医師同士のディスカッションも重要です。特に若手の医師に習得してほしいのは、現場で生きる技術や判断、最先端医療。それ には疑問をすぐにベテラン医師に相談できる環境作りが大事なのです。

地域医療を充実させるには、遠隔地でも医師同士のコミュニケーションがスムーズに取れ、最先端医療に触れやすい体制を用意し、 地域に医師が行きやすい環境を作る必要がありました。それには距離と時間を超えられるテレビ会議システムが役立つと考えていました」 導入や運用は、教育 分野におけるITや遠隔教育を専門とする内藤助教、テクニカルなサポートやリサーチを担当する讃岐研究員も尽力した。2013 年4月時点でテレビ会議システムが設置されているのは、筑波大学附属病院、附属病院水戸地域医療教育センター(水戸協同病院)、附属病院茨城県地域臨床教 育センター(茨城県立中央病院)の3 拠点でこれらに接続できる茨城県内の病院は数拠点であるが、1年以内に約20拠点に拡大する計画である。そしてゆくゆくは地域にある小規模な医療機関との 接続も念頭に置いている。

カンファレンスや最先端医療のトレーニングが遠隔地からいつでも受けられる

当初からさまざまな活用法が想定された。そこでシステム構築を任された映像センターと相談しながら、汎用性の高いテレビ会議システムを構築していった。

テレビ会議システムを用いたカンファレンスは、大画面モニターを2 つ並べた部屋を結んで開いている。参加者は、医師、研修医、看護師、医学生のほか、近隣の医療関係者もいる。 症例の検討会では、課題に対してグループ単位で検討を行い、画面を通して発表し、講師が解説していく。その際、2 つの画面のうち、一方に互いの教室を映し、他方に資料(手技や手術のビデオなど)を映しながら解説する。

「テレビ会議システムを使うことで、参加者が2 倍から3 倍に増えました」(前野教授)「最先端医療のトレーニングにも活用しています。例えば県内では唯一、日立総合病院が導入しているリモート手術用医療ロボッ トのダ・ヴィンチの操作方法を学ぶために、日立総合病院とテレビ会議システムをつないで、操作する医師が見ているリモート映像を映しながらレクチャーを受 けました」(讃岐研究員) カンファレンスは、自動的に録画しているため、参加できなかった医師も後で見られる。

「カンファレンスを開くのは、診療が終わった夜。しかしテレビ会議を使っても、当直だったり、重篤な患者を担当していれば参加できません。また子育て中の医師なら夜も時間は取れません。ですが録画ビデオなら見る時間が作れます。

通常のカンファレンスを録画するには、各拠点での収録・配信作業が必要ですが、テレビ会議システムがあればそれを中央で一括管 理できるため、地域の病院は特別用意する必要はありません」(前野教授) このようにさまざまな用途に最大限に活用できるテレビ会議システムが構築でき た。

地域医療のために大学だから構築できたシステム

前野教授がテレビ会議システム構築において何より優先したのは、「ストレスなくディスカッションできる環境」だった。

「最新の医療情報はネットでも得られます。私たちがテレビ会議システムを導入したのは、質の高いディスカッションをリアルタイムで 行なうためです。それには、ノイズや時間の遅延がなく、自然に対話できる仕組みが必要でした」 そこでハウリングが起こるのを避けクリアな音質を実現する ため、ワイヤレスマイクを多く用意し、発言者の口とマイクが遠くならないようにした。資料やビデオを詳細に表示できるよう画質にもこだわっている。システ ム設計では機器の互換性とセキュリティも重視した。

「いずれは県内の主要な病院と接続します。また大学ではさまざまなプロジェクトが動いています。多くの拠点をつなぎ、幅広く活用す る上でも高い互換性は重要です」(内藤助教)「機密性の高い医療情報、個人情報が含まれる場合もありますから、セキュリティが甘いと他の病院から接続を断 られてしまいます。そこで専用回線を引きました。セキュリティを万全にしてこそ、医療機関が安心して活用できるようになります」(讃岐研究員) 映像セン ターが提供するリモート保守サービスへの期待も大きかった。将来は規模の小さな医療機関とのテレビ会議も計画しているが、接続先にいるのは医療のプロで あって、ITや映像の機器に詳しいわけではない。

「誰でも簡単に利用できるシステムにして、利用者がディスカッションの中身に集中できるのが一番。いくら役に立つといっても機器の 管理や設定が面倒なら、活用されないかもしれません。その点、映像センターのリモート保守があれば、ハード、ソフト、ネットワークなどに詳しいスタッフに 管理を任せられるので、相手に負担をかけずにすみます」(内藤助教) 導入して約2 年。テレビ会議システムが地域医療、医師の生涯学習に役立つ確信は得られた。しかし一般の病院には導入が容易でない場合もある。「そこに大学が中心になっ て構築する意味がある」と前野教授は意義を感じている。

「テレビ会議システムは、導入後も運用スタッフの確保、保守費用が必要となるものです。それを考慮し、長期的視点をもって活用すれば、苦労以上の効果があります」と前野教授はテレビ会議システムへの期待を語った。

  • 筑波大学 医学医療系 地域医療教育学
    附属病院 総合臨床教育センター・総合診療科
    教授
    前野 哲博 氏

  • 筑波大学 医学医療系
    医学教育情報工学
    助教
    内藤 隆宏 氏

  • 筑波大学 医学医療系
    附属病院 総合臨床教育センター
    研究員
    讃岐 勝 氏

筑波大学附属病院
1976 年10月に開院した筑波大学附属病院。社会・地域と連携して多種多様な手法を用いて地域医療の再生プランに取り組んでいる。2013 年5月現在、附属病院のサテライトセンターを茨城県内に6 拠点設置し、大学病院が積極的に地域と連携し地域医療に貢献している。

デファクトスタンダードな機材、リモートでの監視で増える拠点に対応

システム販売事業部 首都圏営業部 高橋 真一

筑波大学様では、他の医療機関、他の教育機関との接続を増やしていきたいという将来の拡張性を考えて、デファクトスタンダートといえる機材で揃えました。これは何らかのトラブルが起こっても、すばやく原因を突き止め対処するためでもあります。また弊社では常に、機器の状態、ネットワークの状況などをリモートで監視し、ITの専門スタッフがいない拠点にも安心して、テレビ会議システムが活用できるようにお手伝いしていきます。