導入事例

東海大学 様

3面の電子黒板、クリッカー、壁面投影大型プロジェクターを設置した次世代型アクティブ・ラーニング用パイロット教室で講義のアクティブ化の実践、効果測定

業種 教育
用途 ・講義形式授業のアクティブ化
・ICT 機器を利用したアクティブ・ラーニングの効果検証

講義形式の授業をアクティブ・ラーニング化する実験教室

東海大学では、第Ⅱ期中期目標として「自ら考える力」「集い力」「挑み力」「成し遂げ力」の4つの力を身につけた人材の育成に力を入れている。「自ら考える力」の養成に向けた取り組みのひとつが「アクティブ・ラーニング」だ。これは能動的に活動しながら自らを成長させる学習法で、グループ学習やPBL(問題解決型学習)などが代表例として挙げられ、一斉授業の講義型と対比的に捉えられることが多い。
教育支援センター 所長の内田教授は、同大学でのアクティブ・ラーニングの取組みについて次のように語る。
「従来型の講義形式授業であっても、学生の心が活性化すればアクティブ・ラーニングといえるはず。そしてその先には、深い理解、ディープ・ラーニングがあります。私たちは、ディープ・ラーニングにつながる真のアクティブ・ラーニングとはなにかという観点から、検討を始めました」
その一環として設計されたのが「次世代型アクティブ・ラーニング用パイロット教室(以下、パイロット教室)」である。これは「講義形式のアクティブ・ラーニング」の実験、検証を目的に用意された教室で、「3 面の電子黒板」「クリッカー」「塗装式スクリーン(壁面投影大型プロジェクター)」「3 箇所の録画用カメラ」「FD 用講義収録装置」が設置されている。
情報教育センターの白澤専任講師は、パイロット教室の導入目的を「大学の授業の多くは講義形式。それをいかにアクティブ化するかがテーマでした。このパイロット教室では、新しい授業プランを実践し、効果測定のためのデータを取得できます」と説明する。
また教員志望の学生を対象に授業を行なっている教育支援センター次長 山本教授は「学校現場では電子黒板などの導入が始まっていますが、活用しきれていない例が散見されます。学生時代に新しい教育用ICT 機器を使った授業法を体験しておくことが、教職に就いたときに役立つはずです」と語る。

さまざまなICT 機器を駆使して変化に富んだ授業展開。
学生の意欲を刺激しながら、講義のさまざまなアクティブ化を実践

パイロット教室では、教卓のある前方に電子黒板が設置されている。電子黒板は、専用ペンを使った板書、プロジェクターを使った資料表示が可能だ。この教室で特徴的なのは、その電子黒板を3 面、横に並べて活用している点である。
「通常の横長黒板を3 分割した板書は理解しやすいと学生の評価が高かったので、電子黒板でも3 面を並べたいと考えました。3 面あると、1面に資料を表示しながら別の面に板書する、あるいは前後の複数ページを並べられるなどの利点があります」(白澤専任講師) また電子黒板では、専用ペンによる画面操作で資料のページ遷移や書き込みが可能だ。「電子黒板では教員と画面の位置が一致するので授業に集中しやすいようです」(白澤専任講師)
教室後方には壁一面を大型スクリーンとして活用する「塗装式スクリーン」が設置されている。これは語学の授業で海外の街角といった外国語を使うシチュエーションの映像を表示するなど、臨場感を高めつつ学習するのに活用されている。
電子黒板が前方、大型スクリーンが後方にあることで、学生は何度もキャスター付きの椅子の向きを変えて授業を受ける。また途中でグループ学習に切り替えるのも容易で、変化に富んだ授業展開が可能である。
複数のボタンが搭載されたクリッカーは、学生の理解度の確認や出席確認に役立てている。例えば、外国語の検定試験対策に模擬問題を解いていく授業では、全員が正解するような問題は説明しなくても良いのだが、以前は全問題を満遍なく解説していた。
「クリッカーなら問題ごとに正答率がわかるので、間違いが多かった問題を重点的に解説できます。クラスによって間違うところが違うので、臨機応変に重点ポイントを変えられます」(山本教授)
大学教員が自らのスキルアップに用いているのが、ビデオ収録装置である。カメラは前方、後方、天井の3 箇所に設置され、教員の動き、学生の反応などをFD 用途として収録し、映像データを持ち帰れる。
「教える側のアクションに対する学生のリアクション分析は重要です。授業を収録することで教員が、自分の動きに対する学生の反応を後から検証できます」(白澤専任講師)

学生の参加意識、学習意欲を高めるアクティブ・ラーニング

学生からもパイロット教室での授業は評価が高い。アンケート結果からは「時間が短く感じた」「集中できた」「参加意識が高まった」などの声が目立つという。
「授業が進むにつれ、難易度も高まります。ところが難しくなると意欲や理解度が下がるのが問題でした。しかしパイロット教室での授業は難易度が高くなっても学生の意欲が高く、手応えを感じています」(白澤専任講師)
授業の組み立て方までも変わってくると評価するのは、山本教授だ。「この教室の活用は、アイディア次第。より多くの授業で活用していただきたい。そのノウハウの蓄積が、アクティブ・ラーニングの可能性を広げます」
内田教授は、本質的に学びが深まる点を評価して次のように語った。「授業での理解の深さはストレスと関連があり、適度な難しさが学生の意欲を喚起します。パイロット教室では、その実験と分析が可能。まさにアクティブ・ラーニング、ディープ・ラーニング、自ら考える力の育成を実践する新しい場ができました」と、パイロット教室の成果に満足している。

  • 東海大学 教育支援センター所長
    教養学部人間環境学科教授
    理学博士
    内田 晴久 氏

  • 東海大学 情報教育センター
    専任講師・学長室付教員
    博士(工学)
    白澤 秀剛 氏

  • 東海大学 教育支援センター次長
    教授
    博士(理学)
    山本 義郎 氏

東海大学
1942 年に創設された東海大学は、北海道から九州までの全国10 カ所にキャンパスを持ち、23 学部99 学科・専攻・課程を擁する総合大学である。「文理融合」の教育理念のもと、「人文科学と自然科学の融合による確固たる歴史観、国家観、世界観」を学ぶ場として人材育成に取り組んでいる。

学習効果を上げるための教育向けICT 導入のお手伝い

システム販売事業部 首都圏営業部 篠澤 琴美

最初に白澤先生からパイロット教室についてご相談をいただきました。当時は、3 面並べて使うことを想定した電子黒板は存在せず、弊社で既存製品を検証しながら、3 面を横に配置して使えることを確認したうえで、導入できました。昨今、教育現場ではICT 機器の活用が不可欠です。私たちは、ICT 機器ありきではなく、教育のためのシステム構築を、先生方と一緒に考え、導入のお手伝いをしていきたいと考えています。